柔道整復師とは
「手」を使って治療する日本独自の伝統医学に、 東洋医学と現代医学がミックスした医業技術。
一般に『整骨』や『接骨』、『ほねつぎ』などの呼称で知られる 柔道整復術は、
日本古来の柔術から 派生した日本独自の伝統医学です。
柔道整復術は、注射や薬に頼らない、あくまで手技を尊重する施術です。
直接患者さんと向き合い、症状を聞き、 人間の自然治癒力を
最大限に生かして回復のための手助けを行ないます。
具体的には、骨折・脱臼・打撲・捻挫や挫傷などの回復をはかる
広い意味でのリハビリテーションに大きな効果をあげています。
文字通り『手をかけ』『手当てする』ことで
身体機能の治療・回復と同時に、心の健康にも貢献していく医療であり、
そのため施術を行なうにあたっては、 患者さんを思いやる気持ちが必要です。
人々の身体や心を癒していく基本は『愛情』なのです。
資格について
柔道整復師は整骨院を開業できる国家資格です。
その他にも機能訓練指導員として介護福祉の施設で働いたり、病院や整形外科でリハビリの仕事をしたり、 スポーツトレーナーとして活躍したりできる資格です。
また、医療機関での実務経験を積んで、 ケアマネージャーの資格を取得することで、介護方面で活躍することも出来ます。 スポーツトレーナーとしてスポーツ選手と関わる場合、選手がケガをした場合にも充分な対応をすることが出来ます。
柔道整復術の歴史は鎌倉時代以前にさかのぼることができます。武道により受けたケガを治療していたのが柔道整復術のはじまりです。「医心方」(984年、現存するわが国最古の医書) には脱臼、骨折、打撲などのケガについて記載されています。さらに治療法については海外からの技術を導入し発展し続けました。
江戸時代の中期以降になると、西洋の近代医学が大きな影響を与え、江戸時代末期には日本の外科、接骨術は体系化され、名倉直賢のような優れた接骨師もいました。名倉直賢は安政の大地震の時に、1日に数百人にも及ぶけが人を治療したといわれています。
明治に入ると「医制」の制定により漢方医学が廃止されます。これに伴って接骨術はほとんど顧みられなくなりました。明治中期以降は接骨業者は激減し、ほとんど絶滅状態となりました。
明治45年、武道家による接骨行公認運動が開始されました。「柔道接骨術公認期成会」を結成し、復活運動を繰り返し行い、大正9年に「按摩術営業取締規則」を準用する形で「柔道整復術」という名称が公認されました。昭和45年には「柔道整復師法」として単独法となり現在に至ります。
このように柔道整復術の根源は武道 (殺法) と治療 (活法) が一体となって平安時代末期にあると考えられますが、明治末期に武術は柔道としてスポーツの分野で発展し、オリンピックの正式種目にもなっています。一方、柔道整復術は医療の一端を担うようになり、科学的研究も行われるようになりました。武術・柔道整復術はそれぞれ分かれて発展し現在に至るわけです。柔道整復術は日本の伝統医療として発展し続け、2002年には WHO (世界保健機構) でも「Judotherapist」として 認知され、国際的にも知られるようになりました。