超音波画像による上腕骨外科頸骨折の2症例(2-6)

生 年 月 日 昭和40年1月14日生
開業年月日 平成13年8月
開 業 場 所 常呂郡置戸町字置戸68-1
卒業年月日 昭和60年3月卒
出 身 校 東北柔道専門学校

中西  誠
(北見ブロック)

<<はじめに>>

 平成18年に超音波画像診断器を導入。平成21年5月に静止画像、動画の保存が出来る、ウルトラ三四郎ライトをインストールしました。インストール後、上腕骨外科頸骨折が2例続きましたので報告する。

<<方法と結果>>

<<症 例 1>>

Kさん S14.10.17生 69歳

負傷名: 右上腕骨外科頸骨折
負傷日: 平成21年5月23日(土) 午後2時頃
初検日: 平成21年5月25日(月) 午前8時
負傷原因: 自宅にてベッドより立ち上がり時、ふらつき転倒、右上腕骨を骨折する。受傷後2日目に上腕部全体の内出血に驚き来院。
既往症: 10年前、脳梗塞により右片麻痺があり、負傷以前より右上肢の挙上制限あり。(右片麻痺の為、上腕骨頭も下垂しており、感覚の麻痺があり、疼痛をあまり訴えなかった。)
症 状: 腫脹軽度、疼痛中程度あり、限局性の圧痛あり。軋轢音有り。
挙上不能、自力での肘関節屈曲不能
処 置: 骨折を疑いエコー撮影。骨折を確認。
変形軽度の為、徒手整復の必要なしと判断する。
置戸町 置戸赤十字病院 院長 長谷川 岳尚医師にレントゲン撮影依頼

5月26日 北見市 小林病院 整形外科 川村 澄人医師に紹介
2人の医師に同意を得、当整骨院にて後療する事になりました。

<<経 過>>

デゾー固定にて1週間固定

アームサスペンダーと包帯を併用して2週目から4週目まで固定
アームサスペンダーのみで4週目から8週目まで固定
6週目よりアームサスペンダーを装着しながら、振り子運動開始
8週目には固定除去

10週目 前方挙上30〜40度 側方挙上約10度
もともと挙上制限が有り、負傷以前の状態に回復したと思われます。

<<症 例 2>>

Tさん T14.1.5生 84歳

負傷名: 右上腕骨外科頸骨折
負傷日: 平成21年8月14日(金) 午前5時頃
初検日: 平成21年8月14日(金) 午前5時30分
負傷原因: 自宅にてベッドより立ち上がり時、ふらつき転倒、右上腕骨を骨折する。
症 状: 上腕上部全面部に腫脹著明、疼痛著明、限局性の圧痛著明。軋轢音有り。変形著明挙上不能。
処 置: エコー画像では屈曲転位が確認されましたので、末梢牽引、直圧し整復を試みました。
整復後は腫脹が減少し、エコーでも屈曲変形が緩やかになったように思われます。
 
8月14日 置戸町 置戸赤十字病院 院長 長谷川 岳尚医師(内科医師にレントゲン撮影依頼)

8月17日 北見市 小林病院 整形外科 川村 澄人医師に紹介
症例1同様 2人の医師に同意を得、当整骨院にて整復、後療しました。

<<経 過>>

左上腕部に簾シーネを用いアームサスペンダーと包帯にて、4週固定
4週後包帯除去、アームサスペンダーと簾シーネにて固定
6週目から振り子運動開始
10週でアームサスペンダー除去
12週で前方挙上80度 6ヶ月後前方挙上100度
治療日数185日(実日数145日)
症例1に比べ症例2は疼痛、圧痛が著明の為に、固定期間を2週多くしました。

<<おわりに>>

  • エコー画像による、骨折部の判断と観察の利便性
  • 骨折に限らず軟部組織損傷にも応用
  • 映像化することにより、患者さんとのインフォームドコンセントがスムーズ
  • 地元の病院・専門医との連携の大切さ