北柔専ポスター発表

  

第Ⅳ会場では、北海道柔道専門学校の学生によるポスター発表が行われました。


      座長 柿原 浩樹

学生の発表を聞き終えて座長より一言

 今の学生さん達は非常によく研究をされていますよね。これから実地についてもっともっと研究していけば北整学会はすばらしいものになっていくのではないかと思いますね。

 多くのギャラリーに囲まれ、進行役の司会により、緊張しつつも若者らしいハツラツした口調で堂々と発表が行われました。どの発表も非常にすばらしく、今回の発表で終わることなく今後も継続して研究が継続され、私達の日々の業務の中で活用されるような研究成果が発表されることを期待したいと思います。 

 以下、発表の概略等を紹介致したいと思いますが、詳細に就きましては付属学校のHPに掲載されるとのことですので、是非ともそちらをご覧頂きたいと思います。



 

 

2年生昼間部
 演題 「運動と集中力の相関について」
 代表 鈴木 秀明

 ガムを咀嚼しながら、モーツアルトを聴かすことで集中力を高め、その後、握力と幅跳びを行うことで運動パフォーマンスにどのように影響するかを発表。


発表中の鈴木君

 

座長からの質問 モーツアルトを選んだ理由と今後の実施方法をどのように改善していくか?
   
答 え モーツアルトを選んだ理由は、モーツアルトの音楽を聴くことで集中力が上がるというデータを見たことがあるため。 今後についてですが、テストの順番を変えることでより正確なデータを取ることができるようにしたい。
   

 2年生夜間部
 演題 「嗅覚刺激に対する筋の反応」
 代表 水上 令也

 ラベンダー、アルコールの匂いを嗅がせ、筋の反応を検証、嗅覚刺激により筋が弛緩することで、脱臼整復時等の患者の苦痛を少しでも軽減することに応用できるのではないか


発表中の水上君(左)

座長からの質問 発表の中で、オリンピック投擲競技の選手が競技前にアンモニアなどの刺激臭を嗅いでから競技に臨むとありましたが、なぜ、アンモニアを使わなかったのか?
   
答 え アンモニアは日常において、あまり接することの少ないものなので、手に入りやすいアルコールを用いました。
   

進行役 中西 誠先生

聴講者の感想

●学生たちの着眼点の鋭さと、突き詰める探究心に関心し、新たに勉強させられました。

●テーマの着眼点の鋭さに、まず、ハッとさせられました。それぞれのテーマを学生ならではの大胆な発想から、どのように研究していったのか面白く聴かせてもらいました。 何より研究していく方法を考えてから、かなりのデータを集めて、集めたデータを解析して考察するのに、かなりの時間をかけているのに関心しました。

●学生たちの情熱にいろんな意味で勉強させられ、大変良い発表だったと思います。

 進行役を務めた中西会員も「大変素晴らしい発表であった。是非、多くの人に見てもらいたい」とコメント

    ※ 詳細は、付属北海道柔道専門学校HPに掲載予定

 

 
 

 

 3年生昼間部
 演題 「内転筋が内反膝に及ぼす影響 」
 代表 岩本 真

 内反膝(いわゆるO脚)が、下肢内転筋を鍛える(股関節最大外旋位でのスクワットによるトレーニング)事で改善されるのではないか。また、内反膝が改善されることで、その分、身長が伸びるのではないかという2点について検証


座長を囲んで3年昼間部発表グループ(右岩本君)

座長からの質問 実験は股関節最大外旋位でのスクワットを行うことで、内転筋のトレーニングとし内反膝が改善したという結果がでたが、その要因として筋力の強化と同時に股関節最大外転位で運動を行ったことによるストレッチング効果があったのではないか?
   
答 え そのようなことも、十分に考えられると思います。
   

聴講者からの意見

●内転筋と内反膝との関係についての発表であったが、筋力の推移に関する資料が無いため、筋力向上と内反膝の改善の関連性を説明するには根拠が希薄となっている気がする。
 トレーニングによって筋力が増強し、同時に内反膝が改善されているということを証明しなければいけなかったのではないか?また、内転筋群の柔軟性の推移を示すことでストレッチングの効果と内反膝の関連について考察が出来るのではないか。

 
 

  3年生夜間部
 演題 「近赤外線照射による生体反応」
 代表 是元 佑太

 昨年発表した「腕神経叢への近赤外線照射」の近赤外線照射と握力の上昇の因果関係を1年間かけ追試を行った結果を発表


是元君(左)
座長からの質問 握力上昇は血管拡張によるものという考え方なんですが、これが近赤外線ではなく、お風呂に入ったとか、ホットパックなどで温めたといった場合、同様な結果が得られるのではないか?
   
答 え 同様に効果を得られることは、考えられるが13%の握力上昇というところまではいかないのではと思います。また、今回の実験は、腕神経叢に近赤外線を照射するという部分がミソですので、そこの処を理解して頂きたいと思います。


今回、2題の発表を行った3年夜間部グループ

 
 

  3年生夜間部
 演題 「プラシボ効果の解析による指導管理への応用 」
 代表 松井 進之介

 昨年の腕神経叢への赤外線照射実験の際に、表れたプラシボ効果に一定のパターンを発見し、共通点があるのであれば、柔道整復師が指導管理を行う際に、特徴を前もって把握することで様々な有効活用やトラブル回避ができると考え調査を行うことにした。

真剣に発表を行う松井君

座長からの質問 プラシボの陽性群のマイナスイメージを排除するということで、君はもう3年生で来年から、もう実際に治療を行うことになりますが、どういうことに気をつけてやっていったいいか教えて下さい。
   
答 え まず、プラシボ効果が出るという段階で気が弱いのではないかなとか、人に影響されやすいのではないかなとかマイナスなイメージを受けがちですが、実はより効果的な、より深く治療成績を高める事ができる人であるということを意識することで、問診票などでチェックしましてリスク管理ですとか相乗効果を狙って治療をすることで、患者の利益と口コミにつながるのではないのかなと考えます。
   

座長から学生諸君へエール

 昔の名医さんって、薬の無かった時代は、プラシボ効果の出し方が上手だったのではないかって言われますから、今後もがんばって人の気持ちがよく解る良い先生になって下さい。

 


発表を終えホッと一息の3年夜間部グループと座長