生 年 月 日 | 昭和40年3月9日生 | 開業年月日 | 平成5年8月 | 開 業 場 所 | 函館市松川町19番1号 | 卒業年月日 | 昭和62年3月卒 | 出 身 校 | 東北柔道専門学校 |
宮崎 敦史
(函館ブロック)
<<はじめに>>
スポーツを行う上でパフォーマンスを向上させるために、靴の機能は重要な要素のひとつと考えられる。
平成23年1月から12月までにランニング時の脚の痛みを訴えて来院した患者について、足と靴のフィッティングが適切か検討した。その結果、各選手の個々の体力、環境などが異なるため、特にフィッティングを行う上で重要なサイズと靴について述べる。
<<足サイズ測定方法>>
足 長 | 立 位 | フットゲージ |
足 幅 | 荷重時 | フットゲージ |
非荷重時 | フットゲージ | |
足周囲 | 荷重時 | メジャー |
非荷重時 | メジャー |
ワイズ | オーソティックスソサエティー規格(JIS規格) |
靴サイズ | 靴に表記されている数値 |
靴実寸 | 中敷きを外して長さを測定したもの |
<<症例1>>
主 訴: | アスファルト路面でのランニング中とスクワット時の左脛骨粗面周囲の疼痛 |
【傷病名】 | オスグットシュラッター症候群 |
性別 男性 年齢 15歳 学年 中学3年生 | |
競技種目 硬式野球 | |
足長 左 247ミリ 右 246ミリ | |
【ランニングに使用している靴】 | ミズノ製 アップシューズ 靴サイズ 靴実寸 26.0㎝ 260ミリ |
【疼痛の要因】 | 1)用途に合った靴を使用していない 2)足長に対して、やや大きめの靴を使用していること。 |
【指導事項】 | ランニングを行う際には、ランニングシューズを使用するように指導した。 |
【経過・結果】 | 3日後 疼痛軽減 (来院時の疼痛と比較:70%以下に軽減) 7日後 疼痛改善し、治療を終了した。 |
<<症例2>>
主 訴: | アスファルト路面でのランニング中の左右大腿骨外側課、腸脛靭帯付着部周囲疼痛 |
【傷病名】 | 腸脛靭帯炎の疑い |
性別 男性 年齢 13歳 学年 中学1年生 | |
競技種目 硬式野球 | |
足長 左 206ミリ 右 209ミリ | |
【ランニングに使用している靴】 | ゼット製 アップシューズ 靴サイズ 靴実寸 22.0㎝ 220ミリ |
【疼痛の要因】 | 1)用途に合った靴を使用していない。 2)スパイクシューズは、明らかなオーバーサイズである。 |
【指導事項】 | 1)ランニングを行う際には、ランニングシューズを使用するように指導した。 2)スパイクシューズには、サイズ調整を目的にディモコインソールを作成し、装着した。 |
【経過・結果】 | 14日後 ランニング時の疼痛軽減(来院時と比較:50%以下) 21日後 ランニング時の疼痛軽減(来院時と比較:70%以下) 50日後 ディモコインソール作成、スパイク使用時の疼痛改善し、治療を終了した。 |
<<結 果>>
スポーツの用途に適した靴を使用し、足に合った適切なサイズに変更した結果、疼痛が改善した。
<<考 察>>
固いアスファルト路面をアップシューズで走り、足の痛みを訴えて来院する患者の多くは、使用する靴の種類と靴のフィット性が大きく関与していると考えられる。
【フィッティングを行う上で特に重要なこと】
- 足の内外側アーチ、横アーチの保持
- 踵から中足部の保持
- ヒールカウンター、内外側カウンターの強度
- ねじれに対する強度
- 靴の屈曲するライン(shoe flex line)と足の屈曲するライン(ball flex line)ができるだけ一致したもの
- 紐などの調整具
- アウトソールの素材
<<まとめ>>
足の痛みを訴えて来院する地域のスポーツ愛好家や部活動のレベルの選手に対して、我々柔道整復師が日常業務の中で機材を用い、足と靴の関係について詳細に分析を行うことは、費用対効果の観点から考えても現実的ではない。
今回の症例についても、数値的分析を行っていない。私の経験上で論じることを承知の上でご理解いただきたいが、このように『適切な靴』に変更するだけで症状が改善するケースが意外と多い。
スポーツ障害の予防のためには、スポーツ特性や足の形状をよく理解し、ブランド名やデザインにこだわらない、足に合った靴選びをすることが重要である。
外傷やスポーツ障害を予防するために、指導者や保護者に対して、足と靴のフィッティングの重要性をよく理解してもらえるように指導することが必要と感じる。
<<参考文献>>
- 靴の医学 スポーツシューズと足サイズ
―靴と足サイズの検討―
内田 俊彦他