生 年 月 日 | 昭和38年4月2日生 | 開業年月日 | 平成3年1月10日 | 開 業 場 所 | 旭川市緑町24丁目2143の55 | 卒業年月日 | 昭和59年3月卒 | 出 身 校 | 赤門鍼灸柔整専門学校 |
斉藤 克己
(旭川ブロック)
<<はじめに>>
肉離れは、ジャンプやターン、ダッシュ等の非接触のスポーツ動作をした時に多く発生し、軽度の筋膜損傷から重度の筋完全断裂まで様々な状態があり、回復期間も違います。
今回は、当院で治療した肉離れで、スポーツ復帰までの固定とテーピングの方法を報告致します。
<<方 法>>
1.固 定
材料…アンダーラップ、ホワイトテープ50㎜、パッドラバー、綿包帯または晒 | |
① 冷湿布、アンダーラップをあてた上から、ホワイトテープ50㎜で作ったチューブを貼り付けます。 | |
② 穴を開けたパッドラバーと3列綿包帯で固定。 |
2.テーピング
材料…伸縮性粘着テープ(エラスティックテープ)75㎜、パッドラバー、サポーター | |
① パッドラバーを患部にあて、エラスティックテープを左右に引っ張りながら貼る。 | |
② 下腿外側からパッドラバーを通り、内側へ巻き上げる。 ③ ①の反対に巻き上げる。 |
<<症 例1>>
30歳 男性 自衛官
バスケットボールの全国大会に向けて合宿中の朝、体育館でシュートを放った際、下腿部に衝撃を感じ受傷。その後も練習を続け、ランニングシュートを放った際に再び同じ部位を受傷し来院しました。
- <症 状>
- 腫脹中度。受傷部位にわずかに陥没を確認。疼痛、圧痛中程度。脚をつくと痛みがあるので、片足立ちで来院。
- <処 置>
- 冷湿布、パッドラバー、3列綿包帯の固定を5日間する。
2週間で、テーピングとサポーターをしてバスケに復帰。
3週間で経過良好につき、治療終了となる。
アライメントで気になることは、偏平足でバスケの合宿による疲労と思われます。
<<症 例2>>
40代 男性
バスケの練習中、ターンをしようと床を強く踏み込んだ際に、右下腿部に激痛を感じ受傷する。
- <症 状>
- 内出血による腫脹著しく、腓腹筋の陥没はわからず、翌日腫れが少し引き陥没を認める。跛行し階段の昇降時運動痛著しい。
- <処 置>
- アイスパックで30分ほど冷却。冷湿布してアンダーラップを巻き、ホワイトテープでチューブを作り、穴を開けたパッドラバーをあて包帯で固定を5日間する。
2週間で日常生活に支障なくなり、4週間目でテーピングを施しジョギング30分。
5週間でバスケに復帰する。
アライメントは、回内足で足関節捻挫の靭帯損傷による関節不安定のため。
<<症 例3>>
17歳 男性 サッカー部
体育館にてトレーニング中の馬跳びで開脚した際に、膝内側に激痛を感じ転倒負傷。
- <症 状>
- 腫脹著しく膝関節屈曲不能。歩行時、下腿持ち上げると運動痛著しい。足関節の背屈ができない。
- <処 置>
- アイシングを施し、晒とパッドラバーで固定。翌日も腫脹著しく、状態が改善されないため、吉田病院 井上謙一先生に診察を依頼。内側広筋完全断裂と診断される。
受傷から10日後に、とくひろ整形外科クリニックにて手術。
その後、5週間でサッカーの練習試合に復帰。6週目で試合に完全復帰しました。
アライメントの気になることは、X脚で体重が重いためと考えられます。
<<考 察>>
- 部分断裂は固定後5日ほどで腫脹は除去でき、この固定は有効でした。完全断裂には効果がありませんでした。
- 完全断裂は視診、触診では判断できませんでした。歩行が可能でも腫脹著しく、可動域に異常があれば専門医に診察依頼が必要です。
- スポーツ復帰には、部分断裂で2週間から4週間目で始め、完全断裂では5週間目から始めました。
- スポーツ復帰後のテーピング、サポーターは安定感があり、再断裂防止に効果がありました。
- アライメント異常は部分断裂には回内足と偏平足が、完全断裂にはX脚が認められ
<<総 括>>
競技復帰の目安は、疼痛の除去だけではなく、低下した筋力が受傷前の状態に回復し、瘢痕組織による柔軟性を改善させ、再断裂を防止することが重要です。
<<参考文献>>
- 日整広報
- 柔整理論
- 小整形外科書
- 柔道整復学 構築プロジェクト報告集