生 年 月 日 | 昭和37年8月22日生 | 開業年月日 | 昭和61年8月2日 | 開 業 場 所 | 伊達市梅本町4番地の62 | 卒業年月日 | 昭和58年3月卒 | 出 身 校 | 赤門鍼灸柔整専門学校 |
平井 義則
(日胆ブロック)
<<はじめに>>
殆どの人達は、生まれつき脚の長さにいくぶんかの違いをもっている場合がある。
それは日常生活においてはさして問題はないが、ある種の持久運動・微妙なバランスや等しい脚の強さとコントロールを必要とされるスポーツ・仕事などを行う場合、色々な弊害があらわれる事がある。オステオパシーを施したり足底板などを使用したりする事なくバランスを調整する事で早期の回復に繋がる。
特に腰部、下肢に関しては効果が高いため、今回、当院で通常行っている検査法と施術方法の一部を紹介する。
<<弊害について>>
先天性疾患・病的疾患を除き、片方の肩が下がっていたり、腰が横に曲がっていたり、体の片側だけに違和感や痛みを訴える場合、骨格のバランスに問題が起こっている可能性がある。急性の外傷以外に原因不明の疼痛を訴える場合は、些細な原因で股関節を損傷している場合が多い。それにより、腰部・下肢の怪我、またはスポーツ障害を招き易く回復時期を遅らせる場合がある。当院に来院される症例では、主にスポーツ関係が多く、サッカー、野球、バドミントン、バレーボール、陸上選手など、約7割が股関節に可動範囲の制限や仮性短縮がある。重労働をしなくても腰が痛くなり易い方々の殆どもそうである。
<<検査法>>
- 1.問診
- 既往症については勿論だが、日常生活の中で椅子に座り足を組んだり、横座りしたりする際、必ず決まった脚を上にするか、また反対側を上にした場合に違和感があるか、普段履いている靴の底は均等にすり減っているか、何も無い所で躓き易いかなどを聞く。
- 2.視診と触診
- 殿筋群の隆起状態や大腿径の比較と確認を行い、解剖については皆さん詳しいでしょうから割愛しますが、股関節周辺、特に内転筋群の緊張の対比確認を行う。
- 3.検査
- レントゲンなどでは骨の検査はできるが、筋組織のバランス異常までは判断が難しい。
モアレ式体型観察記憶装置がない場合、まずは立位、座位、仰臥位、腹臥位での頚部、肩峰の位置、左右の下肢の長さや足関節の角度などが均等かを、目視によってある程度は判断できる。私が行っている一般的方法は、アリステスト、トーマステスト、フェーバー・パトリックテストなどを組み合わせた方法で、仰臥位にて両足関節部を掴み軽く引っ張りながら両足間が鼻筋と真直ぐになるようにして膝や足関節内果の位置と角度が均等か、下肢の内外転・内外旋が均等か、膝関節屈曲状態で股関節を屈曲した時の膝の高さやその状態での内外旋が均等になっているかなどを見て判断するものである。
<<施術方法>>
- 1.電療及び罨法
- 電療としては、主に干渉波、高周波、またはその2種類を併用し、罨法としては、アイスパック、ホットパック、遠赤外線を症状に合わせ使用。
- 2.施術
- 基本的には、手技・マッサージにより筋肉の緊張緩和を行うが、回復の状態を見てプロテックを利用した自重ストレッチとモビライゼーションを行う。
- 3.指導
- 鼠径部と大腿部を中心としたストレッチングの指導を自作のレジュメを使用し説明。
疼痛・圧痛・運動痛が緩和した場合は、セラバンドを利用した筋力トレーニングを指導する。当院では廃棄するパンティーストッキングを利用したインナーマッスルトレーニングをメインに指導している。
足の形状やスポーツ種目、労働に合った靴の指導を行い、水中歩行運動などを勧める。 - 寺山和雄,片岡治,岩崎勝郎:整形外科・痛みへのアプローチ㈬ 股関節の痛み,南江堂,1998
- 以下は題名のみ
The Anatomy Coloring Book、
オステオパシー誇張法 教本、
ザ・フット・ブック、アスレチックトレーニングの実際、
新アスレチックリハビリテーションの実際、
足と足関節の痛み、
スポーツリハビリテーション、
軟部組織の診かたと治療、
スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害 改定第2版、
ストレングストレヘーニング&コンディショニング第2版、
クリニカルマッサージ、
Principles Of Athletic Training、
Basic Athletic Training、
The Atlas Of Musculo−skeletal Anatomy
<<結 果>>
股関節のバランスを均等にする事により、日常の負担が減り、腰部・下肢の捻挫の回復が早くなり、再発しづらくなった。また、アキレス腱炎、ジャンパーズニーなどのスポーツ障害の予防と早期回復が期待できる。
施術前と後では、患者様自身が、関節の可動範囲の制限が緩和されたのが実感でき、第三者にも目に見えて判りやすい。
<<まとめ>>
初検時に負傷原因、既往症、症状を聞くのは当然であるが、負傷箇所に関連した身体のバランスを正常にする事により、患部の早期回復に繋がり、怪我の予防、健康維持となる。ある程度のバランス異常はストレッチングや日常生活での注意、靴や中敷きを変える事によって予防も改善もできるため、施術が終了した後の患者様やスポーツ指導者へ説明し、理解してもらう事も重要と思われる。
<<参考文献>>