寝違いの治療(三角筋からのアプローチ)  奈良坂 力(札幌ブロック)

生 年 月 日 昭和47年8月25日
開業年月日 平成15年4月1日
開 業 場 所 札幌市東区北16条東15丁目2–20
卒業年月日 平成6年3月卒業
出 身 校 北海道柔道整復専門学校
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奈良坂  力
(札幌ブロック)

<<はじめに>>

普段、整骨院において寝違いを訴えて来院する患者さんは多いのではないかと思われます。自分自身も色々な治療をしてきました。施術する先生により様々な<<方 法>>や治療があると思います。当院に寝違いで来院する患者さんの大部分が普段、患側を下にして寝ている事が多い点に着目して、私が腋下部分を含めた三角筋からの治療により、良好な結果を得られた症例が有りましたので、ご報告させて頂きます。

【寝違いとは?】

急性疼痛性に頸椎や肩甲骨の運動性が制限された状態で、大部分は長時間不自然な姿勢をとったり、疲労した時などに不用意に首を捻ったり、肩甲骨を動かしたりした時に起こる、一過性の筋炎である。

<<方法>>

患者をベッドに仰臥位にし、肩関節90度、肘関節90度の状態(ちょうど力こぶを作る体勢)にする。その状態で三角筋に前面から手のひらを使い、少し痛みを感じる程度で圧を加えます。その次に、腋下中央部に手のひらと親指を使い三角筋前面部と同様に、少し痛みが感じられる程度に圧を加えます。

<<症例1>>

56歳 男性 負傷日は平成23年6 月20日

早朝、起床時に右手をついて布団から起き上がる際に捻転し痛めたとの事。主訴として、右頸部から右肩にかけての痛み、頸部の可動域制限、右肩関節を動かす事で頸部に痛みあり。既往歴として高血圧がある。
治療はまず、前に書いた方法を行い、三角筋から腋下部分の筋肉の緊張を緩めた。その後、患者を側臥位にし、頸部から肩にかけての疼痛部に微弱電流とアイシング行いました。その後、肩関節に干渉波を行い、最後に三角筋部にキネシオテープを張り、その日は終了。治療後はかなりの疼痛が緩和され、頸部の可動域も改善された。
翌日も来院してもらい、同様の治療と追加で肩関節の運動療法を加えた。2 日間の治療でほぼ症状は改善された。念のためもう一日来てもらう予定でいたが、仕事の都合で来院できなかった。その後も来院はなかった。

<<症例2>>

37 歳 女性 負傷日は平成23年2 月11日

ソファーで子供と昼寝中、玄関のチャイムが鳴り、驚いて起き上がる際に捻転し、痛めたとの事。主訴として、左頸部から左肩にかけての痛み、頸部の可動域制限、左肩関節を動かす事で頸部に痛みあり。既往歴は特になし。
初日の治療は、症例1 と同様の治療を行った。治療後、症状の改善があまり見られず心配したが、翌日来院した際は症状が改善されていた。2 日目は初日の治療に肩関節の運動療法を加え終了。3 日目、4 日目も同様の治療を行い症状が改善した為、治療を終了した。

<<考察>>

寝違いを起こして来る患者さんは整骨院でも比較的多いと思うが、今回のように患側の三角筋や腋下部からのアプローチにより、比較的良好な結果が得られたと思う。
今後は症例をもっと増やすとともに、腋下部を含めた三角筋部からの治療で効果の少ないものへの対処法や他の部分からのアプローチも考えて行きたいと思います。

<<まとめ>>

今回の症例で言えば、普段、患側を下にして寝ている事で、腋下神経の圧迫やその支配神経である三角筋が影響を受け、さらに姿勢を崩し肩関節内旋位になる事が原因になっていると思われます。他にも原因があると思いますが、今回の症例は影響を受けた部分が解放された為、症状の緩和に繋がったのではと思います。今後は症例を増やし、さらに研究していきたいと思います。