生 年 月 日 | 昭和42年8月18日 | 開業年月日 | 平成7年9月11日 | 開 業 場 所 | 室蘭市東町2丁目23-21 | 卒業年月日 | 平成7年3月卒 | 出 身 校 | 大東医学技術専門学校 |
竹浪 茂利
(日胆ブロック)
<<はじめに>>
腰痛は、生涯を通じて全く経験しない人はないほど極めて多い症状であり、私達柔道整復師が施術する頻度が高い症例である。
今回は、私が治療に従事する中で患者をベッドに腹臥位にて診察した際、足位に幾つかのパターンがあることに気付いた事から、足位から観た腰痛の傾向を統計、考察してみた。
<<対象>>
2012 年1 月から12 月までの1 年間の当院受診患者から年齢、性別等を考慮せずランダムに腰痛患者の300 例を選び、その内から正確な統計を取る為、腰痛以外の疾患がある症例、膝関節・股関節に損傷若しくは既往歴(人工関節等)のある症例と、初検時疼痛が強く腹臥位が困難な症例を除く208 例とした。
<<方法>>
まず患者に足を意識させない自然な状態でベッドに腹臥位にて足位を観察し、踵部外旋型(Ⅰ型)、踵部右偏位型(Ⅱ型)、踵部左偏位型(Ⅲ型)、踵部内旋型(Ⅳ型)に分類した。
次に患部を触診し、筋緊張部、硬結部の圧痛を調べ症状が一番集中している部位を、右側(下部)、左側(下部)、上部に分類した他に、腰椎々間板ヘルニア、狭窄症等による手術跡も一緒に調べた。
<<結果>>
足位分類Ⅰ型(踵部外旋)は、全208 例中81 例で、それを患部分類すると、右側下部38 例、左側下部32 例、上部11 例と、若干右側下部に集中した。
足位分類Ⅱ型(踵部右偏位)は、全208 例中42 例で、患部分類では右側下部11 例、左側下部29例、上部2 症例と左側下部に患部が集中する傾向が観られた。
足位分類Ⅲ型(踵部左偏位)は、全208 例中33 例で、患部分類では右側下部23 例、左側下部7 例、上部3 例と、右側下部に患部が集中した。
足位分類Ⅳ型(踵部内旋)は、全208 例中52 症例で、患部分類では右側下部24 例、左側下部22 例、上部6 症例とった。
Ⅳ型には、他の型に比べ手術経験者13 例と多く観られた。(Ⅰ型2 例、Ⅱ型0 例、Ⅲ型0 例)
<<考察>>
結果から大きく2 つの傾向が観られた。 1 つ目は、足位Ⅱ・Ⅲ型に観られる偏位とは反対側に患部が集中する型で、表とグラフで見ると70 %と左右差が大きくアンバランス型の腰痛といえ、偏った活動や動きが原因と考えられる。
この型は、症状が改善するとⅠ型に移行する患者が多く観られた。
2 つ目は、Ⅰ・Ⅳ型で患部の左右差は、若干右側に多く観られたが、ほぼ平均的でバランス型の腰痛と考えられる。この型の特徴として特にⅣ型では、腰椎への手術経験者が他の足位型の0 %〜数%に対して25 %と多く、将来、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症といった疾患を持つ可能性が高いと考えられ、患者への日常生活等の指導が重要な型だと思われる。
最後に
今回、足位から観た腰痛をテーマに統計考察を行ったが当院受診患者の平均年齢がとても高く、若年層(10 〜20 代)のデータが少なかった。
今後機会があれば、綿密に長期のデータを取り、日常における施術や患者指導に役立てて行きたい。