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信田 千洋 (札幌ブロック) |
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<<はじめに>> 数年前、秋田大学准教授皆川先生がJSBM超音波学会北海道分科会で発表された「肘内障においての考察」を再度、自分なりに追加研究をした。興味深いデータがとれたのでここに発表する。
<<目 的>> 肘内障は、教科書には「学齢前、とくに2~4歳の小児によくみるもので、肘伸展位で前腕を回内位で強く引いたときに発生しやすく、小児は急に痛みを訴え、上肢を動かさなくなる。X線診断は役に立たないから臨床所見から診断される。年齢と発生機転および前腕の回外運動の制限から判定される。」 と書いてあり、また、「橈骨頭の輪状靭帯外への亜脱臼である」とも書いてある。 <<方 法>> はじめに、学齢前の小児および小学生、大人の腕橈関節の違いを比較した。 次いで、実際に肘内障で来院した患者2名の健側と患側のエコー画像を比較。また、整復前と整復後のエコー画像を比較した。
<<症例2>> <<臨床所見>> 患側上肢挙上時、他動的に挙上できるも自動的には不能。圧痛あり。一日経っているのが原因か熱感あり。肘関節軽度屈曲位に保持。発生機転から肘内障と判断。エコーにて腕橈関節裂隙を健側と患側を観察比較したところ、患側の関節裂隙に高エコー域を描出。健側には低エコー域として描出。整復後、描出した高エコー域消失。 <<まとめ>> 今回、自分の認識の違いからであるが、輪状靭帯が橈骨頭から「抜ける、脱臼する」と考えていたものが、軟部組織が「滑り込み、嵌入する」と考えられるようになったことにより、肘内障の整復が自分の中でとても楽なものに感じられるようになったことが大きな収穫であった。 また、レントゲンでは写らない肘内障がエコーでははっきりと描出される点においても、患者に対しても説得力が増し、これからの柔道整復師にとってエコーが重要なツールになりえるものだと再認識できた。 |
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〔参考文献〕 解剖学カラーアトラス 横地千仭 整形外科学療法の理論と技術 山崎 勉 柔道整復理論 全国柔道整復学校協会 四肢と脊柱の診かた 野島元雄 |