アキレス腱炎

 

生 年 月 日
開業年月日
開 業 場 所
卒業年月日
出 身 校 
昭和年月日生
平成年月日
5
平成年3月卒
専門学校

 


佐藤 真一
(名寄ブロック)

 

  <<はじめに>>

 挫傷は我々柔道整復師が日常業務の中で遭遇する機会が多い外傷である。 その外傷の中で下腿部挫傷(下部)の疾患のひとつでわりと多いと思われるアキレス腱炎に対する独自の施術方法に関する考察を述べたいと思います。

 アキレス腱炎で来院する患者は多くの場合「ちょっと捻った捻挫程度」か「筋肉痛のよう」などと油断し徐々にして充分な治療を受けず、後々激しい踵の痛みを伴って歩行困難などで来院することも少なくない。 この場合充分な期間の治療を要し、場合によっては長期に渡り筋・腱の疲労や肥厚などを残すことになり、なかなか痛みが消失せず若干の後遺障害になりやすいなどを患者に理解させることも注意点のひとつである。

 以上の理由によりアキレス腱炎は受傷後直ちに治療を開始すれば早期回復を期待できると思われる。

<<方 法>>

そこで私が今まで経験してきたアキレス腱炎の治療法を報告します。 平成18年4月から平成21年3月までの当院の3年間の施術録から

1 背部挫傷 29%
2 下腿部挫傷 25%
3 大腿部挫傷 23%
4 上腕部挫傷 18%
5 その他 5%

 背部挫傷に次いで下腿部挫傷が多く、更に下腿部を上部・中央部・下部に区分すると下部のアキレス腱部に多く見られた。

 成人中高年層では、階段上り下りの転倒、段差などの踏み外し、冬場の除雪中の転倒、長時間の歩行などの日常生活による原因負傷が多く、若年層では「走る」「ジャンプ」「踏み込み」などスポーツによる原因が圧倒的に多く見られた。

 治療器は微弱電流(マイクロアンペア)米国BMI社製のエレクトロアキュスコープキャリーを使用。 通電体位・刺激強度は症状に合わせ調整し治療にあたった。

(症例1)

32歳 男性

受傷日: 平成18年7月23日
原 因: 野球の試合中にスライディングして負傷、翌日来院。
初検時: 右アキレス腱部圧痛疼痛著明、底屈運動時疼痛及び歩行時疼痛軽度。
施 術: アイシングした後、微弱電流を使用。
刺激強度600マイクロアンペア
周波数を0.5・10・20・80ヘルツの間で変えながら7~8分間通電し冷湿布と包帯固定。
転 帰: 通院10日目で圧痛疼痛消失、運動痛及び歩行痛改善にて治癒。

(症例2)

15歳 男子

受傷日: 平成19年4月13日
原 因: バスケットボール練習中にジャンプして踵から着地の際に左アキレス腱部負傷、その後平成19年4月18日 左足をかばい右アキレス腱部負傷、再受傷後7日目に来院。
初検時: 初検時、両下腿部筋の緊張著明、屈伸運動痛及び運動制限、右足やや跛行状態
施 術: 患者腹臥位にて微弱電流を使用し刺激強度600マイクロアンペアと5ヘルツと80ヘルツで5分から10分間通電し冷湿布と包帯固定。通院3日目より立位・足踏み運動させながら微弱電流使用。
転 帰: 痛み軽減し通院8日目で屈伸運動痛改善、疼痛消失にて治癒。

(症例3)

13歳 女子

受傷日: 平成21年4月20日
原 因: バレーボールの部活で右アキレス腱部負傷、受傷直後に母親と一緒に来院。
初検時: 右アキレス腱部圧痛著明、運動制限及び運動痛著明、跛行顕著のため、コールドパックを直接当て10分程度冷却安静を図り、テーピングと冷湿布、包帯固定のまま初日を終える。

施 術: 2日目も初日同様、湿布、テーピング包帯のみ使用、3日目より微弱電流を患者立位のまま足踏み屈伸運動をさせながら600マイクロアンペア 80ヘルツで10分~15分間通電。

転 帰: 通院7日目で疼痛消失、運動痛改善にて治癒。

<<結 果>>

 痛みの程度によると思いますが、この微弱電流を使用することにより、患部組織の修復と再生を刺激により促進させることにより、患部の疼痛及び運動痛の改善により回復を見る事ができました。

<<考 察>>

 学生が4月~5月に受傷して来院するのは、学校生活にも慣れ始め、クラブ活動に於いて大会を控え練習内容も、準備運動不足やストレス体操の不十分さが考えられる。 学生には早期に治療することにより短期間で痛みを消失させる結果を得る事ができると思います。

<<まとめ>>

 特別な治療法ではありませんが、アキレス腱炎について痛みのポイントを把握しやすいので、患者の状態を観察しながら比較的早期に部活にも復帰し良い状態が得られました。 学生には受傷後直ちに受診するように指導しています。 今後も微弱電流を使用して、的確な治療を確立させる事により完全治癒が望めると思います。