講師 早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科
教授 平田 竹男先生
【自己紹介】
早稲田大学にて13年教授をやってきて、伊達公子、原晋、朝日健太郎、平井伯昌、桑田真澄・・と、毎年有名な生徒が入学してきたことはとても恵まれていて感謝しています。大学ではサッカーが専門ですのでサッカーのやり方で野球・テニス・駅伝という横展開で研究し、学生と一緒にいる時間を多くすることを心掛けています。早稲田大学に兼学許可というものができて、5年前より安倍総理のアドバイザーとして内閣官房参与となりオリンピックの誘致、事務局長を務めています。
【2018平昌オリンピック・パラリンピック】
パラリンピックアルペンの村岡桃佳(早稲田大学)は冬季最多5個のメダルを獲得しました。今大会では体幹の調整トレーニング、お尻の座面の工夫設計、気象予報をもとにスキーの溝を徹底して分析しました。このようなことが総合的にできるようになり、科学(サイエンス)と友達になった実感がありました。以前は「研究者のための研究」であったが、今は「選手のための研究」になってきています。平昌を経験して選手の怪我の回復、機能を上げることにおいて、コ・メディカルの協力が大事であると感じました。
【2020東京オリパラの概要】
開催時期においては暑さ対策、テロ災害対策、サイバーセキュリティ対策や輸送交通(混雑)への対応が重要となります。2020年の祝日を動かす法律が可決し、大会期間中は3つの祝日を移動して開閉式前後を休日にすることで交通混雑が円滑され、交通量が15%減ると考えられています。
【パラリンピックの競技力向上へ】
ナショナルトレーニングセンターは当初は障害者スポーツの競技者には解放されず、現在はオリパラ共同利用を推進することで平昌ではメダルを獲得するバックアップとなりました。来年にはナショナルトレーニングセンター拡充棟がオープン予定でパラリンピック競技の使用も想定されています。
【障害政策への参画】
パラリンピックをきっかけに日本のバリアフリー政策の改善が必要であり、現在は18障害者団体が議論を交わしています。通訳をどう置くかなどの工夫が必要であり、会場設定、手話・点字を使う方へのコミュニケーションを僕らも勉強していき、バリアフリー体系について国土交通省と共にまとめているところです。今後は障害を持つ国会議員が増えていくことを期待します。また平昌では大日方邦子が女性パラリンピアン初の団長となり、自身が障害者ということで会議をリードできる人材がでてきたこと、僕がその教育をやっていたことを嬉しく思います。
【バリアフリー化・英語表記】
鉄道駅・ターミナルにおいては2020年までに一日3,000人以上が利用する駅は全国でバリアフリーに、一日10万人以上が利用する駅にはホームドアを設置、バリアフリーマップで単独乗降可能な駅をマップ化、バリアフリーに配慮したホテル(一般客室)の設計標準の改正がされています。
外国人観光客、外国人の障害者に分かりやすいことが必要で、例として新宿駅の案内サインや表記の仕方は設置者ごとに異なり分かりづらい状態です。英語表記の統一に関しては2019年までに整備して他の駅にも広げることになっています。
【アスリート・観客の暑さ対策の推進】
熱中症の英訳を以前の「heatstroke」(重症のみを示す)から「heat illness」(軽症から重症まで含む)に統一することになりました。車椅子の方は地面に近く体感温度が上がりますので十分な情報提供が必要であり、救護医療体制では状態の情報共有も大事であります。
【ホストタウン・オリパラに向けた様々な動き】
大会参加国のオリンピアン・パラリンピアン、関係者の方々との交流にて日本を伝えていく、大会後も交流が継続・発展し、双方の絆が深まっていくことが期待されています。文化もオリパラの機会に発信していくことが期待されていて、beyond2020プログラムでは日本文化の魅力を発信する事業・活動を認証、多様性(バリアフリー等)、国際性(多言語化等)に配慮した取り組みなどがあります。さらにオリパラ記念ナンバープレート、エンブレムバッチ、テレビCMにパラ選手、記念貨幣などオリパラの融合が今後も進んでいくと良いと思っています。
【柔道整復師への期待】
海外での活動に対して現地にて選手のフィジカルケアを行う体制、また新しい人間ドックとして年1回は関節可動域チェックが必要であり、スポーツ面では知っている人もいるが、全国的なシステムとして取り組んでいただきたいと願います。
【最後に】
2020年東京オリパラが始まり、次のパリ、ロサンゼルスが真似をするような大会になって欲しいと願います。皆さんも2020年までに何らかの目標をたて、そこから逆算して行動することでそれを達成するような人生を送ってほしいと思います。