伸縮テープによる足関節捻挫の治療法  鹿又 秀之(北見ブロック)

生 年 月 日 昭和40年12月27日
開業年月日 平成3年8月
開 業 場 所 北見市花月町8–27
卒業年月日 昭和61年3月卒
出 身 校 東北柔道専門学校
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鹿又 秀之
(北見ブロック)

<<はじめに>>

私とスーパーフィートとの出会いは、先輩の先生から紹介され興味を持ち講習会に参加した時でした。講習を受けて、初めて聞く用語・関節の動きかた、また今まで認識していた足関節の回内、回外が反対という事。無加重・加重時といった用語、足部は前足部・後足部との位置が捻じれたように動く機能がある、などと多々ありますが、一部分を紹介とこれらの事を参考にして足関節捻挫に対する治療方法を報告します。

 

症例の前に、回内、回外の理解が重要なので、ここで足の動きを説明します。

 

◦ 足は立体的な構造で、関節はそれぞれがもっている運動軸によって複雑に動きます。
三次元( 3 D)で運動しているわけです。このような動きを研究やトレ-ニング、治療などにおいて理解するためには、共通する用語が必要です。以下では足に関連する主要な動きと用語を分かりやすい例を使って述べます。

( 1 ) 3 Dを三つの身体面に分けて考える

足の位置や動きは、関節に備わった軸によって運動しますが、この動きを三つの身体面を基準として表します。即ち①矢状面 ②前額面 ③水平面(横断面)です。

( 2 )背屈

無加重の状態で足関節を使って足部を脛に向かう動きを背屈といいます。
この動きは身体を左右に分ける面(矢状面)と平行に起こります。

( 3 )底屈

背屈と反対に、無加重のとき足部が脛から離れていく動きを底屈といいます。前述と同様身体を左右に分ける面(矢状面)と平行に起こります。

( 4 )外反

無加重の状態で足の底面が体の正中面から離れていく動きを外反といいます。
この動きは身体を前後に分ける面(前額面)と平行に起こります。

( 5 )内反

外反とは反対に足の底面が傾斜して、足の底面が体の正中面へ向かっていく動きを内反といいます。この動きは身体を前後に分ける面(前額面)と平行に起こります。

( 6 )外転

無加重の状態で足部またはつま先部分(遠位部)が正中面から離れ、外側に向かって動くことを外転といいます。この動きは身体を上下に分ける面(横断面)と平行に起こります。
外転の軸となる部分の動きを「外旋」といいます。

( 7 )内転

足部またはつま先部分(遠位部)が正中面に向かって、内側へ動くことを内転といいます。
この動きは身体を上下に分ける面(横断面)と平行に起こります。
内転の軸となる部分の動きを「内旋」といいます。

( 8 )回内

加重時に足部が体の内側に向かって傾き、足部が扁平な形状になっていく動きを回内といいます。これは3 平面で①外転(横断面)②背屈(矢状面)③外反(前額面)した、複雑な3 平面運動を表現した用語です。

( 9 )回外

加重時に足が身体の外側に向かって傾き、足部ア-チが高くなった形状になっていく動きを回外といいます。
これは3平面運動を表現した用語です。

 
 
 

◦ニュートラル(中間位)

足部が回内も回外もしていない中間の状態をニュ-トラルといいます。
そして足は建物の基礎にあたり、基礎が完全でなければ建物が傾くように、健全な足がなければ人体は傾き、まっすぐ立つためには膝、腰、背骨などを歪めて矯正しなければなりません。これを代償行為ということを学びました。そこから足の痛み、膝痛、腰痛、肩こりなど様々な問題が発生することを学びました。そして足部の問題として現代では多くの人が健全な足ではなく、過剰に回内しやすい足をしているとあります。過剰回内した足とは回外しなければならない時にも回外しにくい、あるいは回外できない足のことですとあり、その状態は様々で原因も多岐にわたるとあります。

 

このことから過剰に回内(縦アーチ、横アーチのつぶれ状態)をテープ使用により少しでも制御し外傷部位にその代償行為の影響(痛みの度合い)を減らすことによって治療として利用できないか試して見たところ比較的良い結果が得られたので、数多くの症例の中から、今回は足関節捻挫2 例を報告します。

<<症例1>>

13 歳男性
学校でバドミントンの練習中、ジャンプ着地時に過度捻転負傷する。
来院時、疼痛大のため足が着けない状態で補助を借りての移動。患者を寝台から足首がやや出るよう伏臥位に寝かせ、伸縮テープを用いて足底に足部が回内も回外もしない中間位の状態で(私感が入ります)第一中足骨頭から踵骨を包むようにして第二中足骨頭部に付着する。
第二中足骨頭部から踵骨を包むようにして第五中足骨頭部に付着する。第一、第二、第五骨頭を付着部に選んだのは縦アーチ、横アーチの支点に近く尚かつテープの重なりをできるだけ防ぐのを考慮したためです。あとは蛇腹のように第一中足骨頭から第五中足骨頭部をスタートにかかとへ向かってテープを貼っていき、アンカーとして内側からアーチに沿って外側へテープを貼り終了、起立してもらい痛みが軽減しているのを確認しました。患部に冷湿布、包帯固定を施す。患者によると、痛みはまだ有るが歩行ができるとの喜びの報告がありました。

症例2>>

9 歳男性
体育館でバトントワリングの練習中、つま先で立った際バランスを崩し捻転負傷する。
来院時、軽度疼痛、普通の状態で歩行しての移動。
前述同様に患者を寝台に伏臥位に寝かせ、伸縮テープを用いて足底に足部が回内も回外もしない中間位の状態で(私感が入ります)テープを貼りました。
起立してもらい痛みが軽減しているのを確認しました。
患部に冷湿布、包帯固定を施す。
患者によると、痛みはなくなったと報告。
二日目来院、前日と同じ痛みがあるとの訴えでした。
そこで、厚手の伸縮テ-プを用いて足底に足部が回内も回外もしない中間位の状態で(私感が入ります)テープを貼りました。
起立してもらい痛みが軽減しているのを確認しました。
患部に冷湿布、包帯固定を施す。
三日目来院、前日より、かなり痛みがなくなったと報告がありました。
軽度の捻挫であり三週間後より競技に復帰しました。

<<まとめ>>

まだまだ勉強が足りませんがスーパーフィートの基礎である足病医学理論が外傷などの手当てに充分応用できるのではないかと感じました。